Cats in the UK

イギリスで広がる猫の人気

(注:このブログ記事のオリジナルは英語で執筆されており、日本向けに少し調整して日本語に書き直しています。)

イギリスでは昔から「犬は人間の親友」と言われ、犬が国民から愛される代表的な動物として親しまれてきました。しかし、近年、そのイギリス国民の愛情を静かに奪い始めた存在がいます。その存在とは、猫!

最近では、猫はただのペットにとどまらず、イギリス人の暮らしやライフスタイルの中で特別な存在になりつつあります。SNSでシェアされる面白い猫の動画や、猫をモチーフにしたインテリアグッズ、さらにはアート作品まで、猫は今や私たちの生活や文化に欠かせない存在となっています。

私の個人的なエピソード:9年前の出来事

約9年前、私がロンドンのオフィスで会社員として働いていた頃のことです。ベビーブーマー世代のイギリス人上司が、私のパソコンに表示されていた愛猫の写真を見て、鼻で笑いながら「僕は犬派だよ!」と言ったんです。その態度には、犬の方が猫よりも優れているという「昔ながらの価値観」をさりげなく示しているような雰囲気がありました。当時のイギリスでは、こうした考え方がまだ一般的だったのかもしれません。

その頃は、例えば買い物先でも猫をテーマにした商品はとても少なく、特に大人向けのデザインはほとんどありませんでした。グリーティングカードのコーナーには楽しげな犬のイラストがずらりと並んでいましたが、猫をテーマにした商品は、子供向けのものだと考えられている印象がありました。猫はまるで、「脇役」として扱われているように感じたものです。

 

しかし、いつの間にか、そんな状況が大きく変わったのです。

静かにスポットライトを奪う猫たち

イギリスで暮らす私たちの周りで、じわじわと、いつの間にか、猫が存在感を現してきました。SNSでは、おもしろ猫の動画が瞬く間に拡散され、インターネットのスターに。テレビ番組では「猫 VS 犬」の特集や、猫の知能や心理に関すること、心温まる猫のエピソードなどが取り上げられ、猫がメディアで脚光を浴びる機会が増えてきました。

Tortie Cat サビ猫

統計によると、イギリスでペットとして飼われている猫の数が「人間の大親友」であったはずの犬の数を上回ったという話も。都会で暮らす人が多くなり、猫が静かで手間がかからない理想的なペットとして選ばれるようになったことが、その背景にあるようです。犬が忠誠心や行動力を象徴する存在であり続けている一方で、猫はその独立心や適応力、そしてどこか神秘的な魅力で、現代の生活にぴったりな存在なのかもしれません。

Ginger cat 茶トラ猫

イギリスと世界の「猫愛」文化

イギリス以外で、猫が国民的に愛されている国を見てみましょう。

例えば、日本での猫人気は熱狂的とも言えるほどです。日本の至る所で猫をテーマにしたものが見られ、猫の形をしたパンやケーキがSNSで話題になり、行列ができることも珍しくありません。ただし、猫の存在はそれだけではなく、文化的にもユニークな役割を果たしています。代表的な例が「招き猫」。片手を挙げた姿が特徴のこの置物は、「福を招く」として古くから親しまれています。家庭や店舗でよく見かけるこの招き猫は、色や挙げた手がそれぞれ異なる意味を持ち、健康や金運、繁栄を象徴しています。

Maneki-neko 招き猫

また、日本の猫カフェも注目すべき存在です。猫に癒されたい人たちが、猫とゆったりとした時間を過ごしながら軽食やお茶を楽しめる場所として人気です。さらに、多くの猫カフェは保護猫を受け入れ、里親探しの役割も果たしています。このように、日本では癒しと社会貢献が融合した独自の猫文化が育まれているのです。

一方、トルコでは、猫が非常に尊重され、暮らしに溶け込んでいます。特にイスタンブールでは「猫の街」と呼ばれるほど、街中で数多くの猫が自由に暮らしており、地元の人々が協力しあい、まるで自分たちの家族のように面倒を見ています。猫専用の小さな家が設置されている場所もあり、トルコ文化における猫への思いやりを象徴しています。

タイでは、「シャム猫」(現地ではウィチアンマートと呼ばれる)が特別な存在として知られています。シャム猫は幸運の象徴とされ、結婚式では新郎新婦への贈り物として知られています。タイの伝統的な文化では、猫が家に幸福と繁栄をもたらすと信じられています。

そしてエジプト。猫は古代から神聖な存在として扱われてきました。猫は、保護や豊穣の女神バステトと関連付けられ、家族の守り神とされていました。その姿は古代の美術品に多く描かれ、今でもエジプト文化の中で特別な存在です。

永遠の魅力を持つスタッフォードシャー・キャット

当ストアで特に人気のある商品といえば、「スタッフォードシャー・キャット」のペアです。手描きで丁寧に仕上げられた一点物のこのフィギュリンは、その希少性と魅力的なデザインで多くの人々を惹きつけています。それぞれのスタッフォードシャー・キャットにはユニークな個性があり、ペイントの細部や表情から、その魅力がしっかりと伝わってきます。

ヴィンテージ アンティーク スタッフォードシャーキャット Vintage Antique Staffordshire Cats My Happy London Home マイ・ハッピー・ロンドン・ホーム

スタッフォードシャー・キャットは、イギリスの伝統的な工芸品の一つとして広く愛されていますが、世界中にコレクターのいるウィンスタンレー・キャットも見逃せません。ウィンスタンレーの猫たちは、リアルなデザインと生き生きとした表情で知られており、その優雅さと自然な美しさで見る人を魅了します。

Winstanley Cats Figurine, Calico, Size 2-Ornament-Winstanley Cat-My Happy London Home

これらの作品は、イギリス文化における猫への深い愛情と、その美しさを称える芸術性を象徴しているのです。

Staffordshire Cats on Blue Cushions with Rare Floral

ルイス・ウェインが残した猫アートの遺産

イギリス文化における猫の話題で欠かせない存在といえば、ルイス・ウェイン。彼の描いた猫たちは、単なるペットではなく、ユーモアと感情に溢れるキャラクターとして生き生きと描かれています。ウェインの独特な作風は、ビクトリア朝からエドワード朝にかけての時代に大きな影響を与え、彼のカラフルで人間のような猫のイラストは、当時も今も多くの人々を魅了しています。

ウェインの作品が特別なのは、その表現力にあります。例えば、彼の猫たちは帽子をかぶり、楽器を演奏し、社交的な場面でおしゃべりしている様子が表情豊かに描かれており、単なる猫の姿を超えて物語性が伝わってきます。そのため、彼の作品は猫好きな人だけでなく、アート好きの人々にも広く支持されています。

Louis Wain

当ストアでも、ルイス・ウェインのプリントをいくつか取り扱っています。ヴィンテージアイテムとしての価値はもちろん、彼が描き出した猫たちのユニークな個性や温かみを感じていただける作品たちです。

Louis Wain Framed print Vintage

ルイス・ウェインの作品は、猫がどれだけ深く愛されていたかを見せてくれるだけでなく、100年前のイギリスの人々の生活や文化、そしてユーモアのセンスを見ることができる貴重な記録でもあります。

最後に一言:猫と犬、そして私たちに寄り添う存在

猫と犬は何千年もの間、人間と共に暮らし、それぞれが違った個性で私たちに寄り添ってきました。「犬は人間の親友」と言われる通り、犬は忠実で行動的なパートナーとして知られ、歴史の中で人々の生活を支えてきました。一方、猫はその独立心と優雅さで、私たちの心をつかみ、現代の忙しいライフスタイルにも完璧に調和する存在となっています。

犬も猫も、私たち人間に喜びと癒しを与え、大自然と人間のつながりを感じさせてくれます。玄関で尻尾を振って迎えてくれる犬、静かに寄り添ってくれる猫。それぞれの存在が私たちの生活を豊かにし、幸せな気持ちにさせてくれるのです。

あなたにとって、猫とはどんな存在ですか?お気に入りのエピソードや思い出、また猫にまつわる文化的なお話があれば、ぜひコメント欄で教えてください。皆さんの猫に関する思いを共有していただけると嬉しいです。

Cat vase, Staffordshire dog

なお、今後は「イギリス人と犬」をテーマにした記事も執筆予定です。犬がどのようにイギリス文化の中で特別な存在となってきたのか、猫とはまた異なる視点から掘り下げていきたいと思っています。ぜひそちらもご期待ください!

Christmas dog dachshund sausage dog 

 

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